特集コラム

Column 3 匿名西荻窪

2009/12/25

西荻に天使が舞い降りた日

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あなたは、天使に救われたことがありますか?
僕は、あります。31年の人生で一度だけ。
場所は、西荻窪の某コンビニエンスストアでした。

西荻は昔ながらの人情が残っている街で、どんなお店でも何度か通っているうちにいつの間にか名前を覚えられ、そのうちに道で会うと言葉を交わしたりするようになります。
地方出身者の僕は上京前に「東京は無情な場所」などと聞いていたため、当初は身構えたものですが、あら不思議。「東京」と書いて「にんじょう」と読むのではないかというくらい、あたたかい場所でした。
でも、それは僕が西荻窪に住んでいるから、というのが大きいのかもしれません。

この街では個人経営のお店に限らず、大手のコンビニまでとても親しみやすかったりします。僕が毎日通っているコンビニの店長は、いつの間にか名前を覚え、今では毎日名前を呼んであいさつしてくれます。

あるとき、お気に入りの菓子パンが一時生産中止になったのですが、それについて彼に質問すると彼は
「ごめんね、本田さん。作らなくなっちゃったみたい。ごめんね」
と、僕に何度も謝ったものです。
しかも、再度生産が始まったときには目をらんらんと輝かせ、店に入ると開口一番
「本田さん!あれ、入ったよ!あのパン!」
と子犬のように駆け寄って来ました。
40代半ばくらいだと思いますが、子どものような彼なのです。
この日僕は食後だったので、パンを買うつもりはまったくありませんでした。しかしそのパンを持たずにレジに列ぶと、彼がとても悲しそうな目で僕を見つめるので、ついつい並び直してパンを購入してしまいました。

また、別の日。深夜にお店に行ったとき、レジには彼だけがいたのですが、彼は驚くべきことを僕に告げました。

「ちょっとトイレ行きたいんですけど、レジ見ててもらえますか?」

これがあの、薄情、無情と聞いていた東京の本当の姿なのか・・・。
頭が一瞬真っ白になり、それから笑いがこみ上げてきました。

そして、極めつけが天使の降臨です。
公私ともに辛いことがあったある日、いつもの店に足を運びました。
そしてレジに列ぶと、そこには彼の姿がありました。
その日、おつりを渡すときに彼が言った言葉は今でも忘れられません。

「ごひゃくエンジェルなな円のお返しです」

聞き間違いと言いたければ言ってください。
馬鹿だと思うなら思って下さい。
でも、彼のその言葉によって、僕の心にぽっとあたたかいものが灯ったのは事実です。
人生において547円のおつりをもらうことは何度もあるかもしれません。
しかし、普段から目も合わせない店員さんだったならこんなふうに天使が降りて来ることはなかったと、僕は思います。

文・取材 / 本田まさゆき
青色申告会

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