特集コラム

Column 1 西荻窪のおみせ

2010/03/02

仁三郎百貨店

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西荻窪といえば、やはりアンティークの街。60軒以上のアンティークショップが駅の北にも南にも立ち並び、それらの店を紹介した『アンティークマップ』なるものまで様々な場所に置かれている(駅前の交番でも手に入る)のだから、真の骨董好きや探し物がある人にはこの上ない幸せな環境だろう。

でも、中にはこんな人もいるのではないだろうか。
「アンティークってなんだか難しそうだし知識も全くないけれど、古いものや面白いものに興味がある。出来ればどうにか覗いてみたい。
でもちょっと敷居が高い気がしてお店に入ることすら難しい…」
そんなアンティークの街へ踏み入れたばかりの超初心者が。なぜならかくいう私がそうだからだ。
そんな私と似たアンティーク初心者マークの貴方へ、自信を持ってアンティークの世界へ最初の一歩として紹介したいのがこちらのお店だ。

昭和おもしろレトロ雑貨のお店『仁三郎百貨店』

西荻窪駅南口から北西にある神明通りをひたすらまっすぐ8分ほど歩くと右側にこちらのお店にたどりつく。
そして店の前を通るだけでつい足を止めてつい呟いてしまう。「あれ!懐かしい…」

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昭和の香り溢れる生活雑貨が籠や棚に納まり展示されている。どれどれと覗きこんでもう一言呟く。「あれ!安い…」
アンティークは高くて手が届かない。品物そのものの価値がわからない超初心者はそんな思い込みを持っていたりする。
だが、籠の中の商品についている値札は、なんと80円からある。(ちなみに子供用箸でした)
仁三郎百貨店の入り口扉はガラス戸なので外の商品を見るついでに、お店の中もガラス越しに見える。つい安心してそのままふらふらとガラス戸をあけてみると、チリヂリヂリリン♪とドアベルが鳴り店内に入る。第一声は「あら!落ち着く…」

お店の中は二部屋あり、コレクションルームのようにあちこちに商品が展示してある入り口付近の土間と、一段高くなった奥の畳敷きの部屋。
奥の部屋から作業中の店主がひょっこり顔をだす。「いらっしゃいませー」と言われてお辞儀を返しながらこっそり呟く。「あら?若い…」
初心者の思い込みその2。アンティークの店主は、粋も甘いも噛み分けていて頑固そうなご年配の方が多そう…。ところがここの店主はまだ30代か40代ぐらいの若さ。
そして愛想良くこちらの質問にはなんでもすぐに答えて下さった。

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ちなみに奥の間は、以前たたみカフェをやっていたという。吉祥寺の有名コーヒー店での経験もあるという経歴の店主が本格的珈琲をいれていたのだが、現在はそこまで手が回らなくなりカフェ部分は休業中。(2010年3月現在)今後の予定では春頃にでもこっそり再開しようか考え中だと伺った。

そして、肝心の手前のお店部分はというと、「あらら?ここは昭和のお宅?コレクションルーム?台所?駄菓子やか文房具や?やっぱりアンティークショップ?!」

なんとも不思議な空間である。視線を変える度に違うものが姿を現す。天井には凧や昔懐かしいランプシェードが。一角には昭和の子供達の文房具や玩具が。別の一角にはなぜかタイルばりの水道まで。
今の時期ならではのひな祭りの飾りやひな人形もどこか懐かしく、祖父母の家を思い出す。そうかと思えばお洒落な洋風のティーセットが何客もあったり、いかにも時代を感じる和皿や台所用品から現代でも日常使いが可能そうな普段使いの皿まで、とにかく置いてあるものが幅広く、それでいて全てが懐かしい。

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そんな仁三郎百貨店の品揃えをまとめるなら『昭和40年代のレトロ雑貨』というのに納得。50年代生まれの私にも、どうりで身近に懐かしく感じるわけだ。
なんともはや、どの角度からでもあらゆる面で敷居が低く初心者に優しいお店である。
西荻窪の街を散歩するにはちょうど良い距離なので、足を伸ばしてまで来てみる価値は充分値する。カフェの再開と散歩のしやすい春の到来が待ち遠しい。

最後に、アンティークの街初心者の貴方と言葉の定義を勉強しよう。
まず『アンティーク』とは元々ラテン語の『古い』(Antiquus)という言葉からなるフランス語であり、和訳だと『骨董品』。骨董品についてウィキペディアを参考にしてまとめると、海外では製造された時点から100年を経過した手工芸品・工芸品・美術品で、希少価値のある古美術や古道具のことだそうだ。しかし日本などアジアではそこまで厳密な定義は無く、一般的に数十年より古い物が骨董品とみなされている。
つまり「古く」て「希少価値」なものであれば物品のジャンルは問わないのだ。 ついでに『レトロ』とは、retrospective(回顧)の略語で『懐古趣味』のこと。

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古きを懐かしむ。誰しも人にはそれぞれの生きてきた歴史がある。一足飛びに100年以上前の歴史でしか知らない時代の物品へ心を奪われるのも素敵だし憧れる。しかし、まだ何も知らないわからないアンティーク初心者がこの広く素敵なアンティークの世界に飛び込むには、まずは自分が生まれてきた「懐かしい」と感じる物品から入るのもいいだろうと思う。
そうすればきっと仁三郎百貨店が暖かく迎えてくれるのだから。

仁三郎百貨店
http://nisaburou.com/
住所:東京都杉並区西荻窪1-18-11
電話:03-3247-6565
営業時間:15:00-20:00 
定休:水曜

文・取材 / raku

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